どちらの国の法律が適用されるのか/国際結婚手続き
§ どちらの国の法律が適用されるのか/渉外的法律関係における準拠法
Q | 日本国内で外国人と結婚する際、どちらの国の法律が適用されるの? |
A |
日本で結婚する場合は、日本の国際私法である通則法が定める方法によって、準拠法が決定されます。 渉外的法律関係がある国で問題となった場合、その国(法廷地)の国際私法が原則適用されます。 ※法廷地とは、必ずしも現実に訴訟が行われる場合に限らず、当該事件を問題とする場所を意味しています。 日本の国際私法である通則法による婚姻の成立要件には、 実質的成立要件と形式的成立要件があります。 ※実質的成立要件:我が国/日本の通則法は属人法主義を採用しており、「各当事者の本国法による」(13条1項)としています。 つまり、夫については夫の本国法、妻については妻の本国法をそれぞれ適用する。 但し、実質的成立要件のうち、下記の双方的要件に該当する場合、結果的には両当事者の本国法の累積的適用と同じ結果となる。 ※累積的適用と同じ結果とは 女性の本国法によれば、前婚の解消後、6ヶ月以内は結婚することができないという再婚禁止期間があっても、 男性の本国法が前婚の解消後、1年以内は結婚することができないという再婚禁止期間がある場合、1年後でなければ再婚は成立しない。 一方的要件(当事者一方のみに関係) ・婚姻意思、婚姻適齢、第三者の同意、肉体的又は精神的障害等 ⇒各自の本国法だけが適用される。 ・双方的要件(当事者の双方に関係) 重婚禁止、再婚禁止期間、近親婚の禁止等 ⇒当事者双方の本国法が両者に適用される。(当事者双方の本国法で差異がある場合、より厳格な本国法が要求している要件を満たさなければなりません。) 上記の要件を全てクリアできる場合には、「日本で結婚」することができます。 <なお、外国人の方の本国の国際私法が、婚姻の成立について挙行地法主義を採用している場合には、日本で結婚するということは 日本が挙行地となる為、日本の法律のみ適用されます。> ※国際私法において、婚姻挙行地法を採用している国 中国(外国人との結婚について)、フィリピン、ロシア、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、チリなど ※韓国国際私法 第36条(婚姻の成立) 1.婚姻の成立要件は、各当事者に関して、その本国法による。 ⇒ 当事者に関してのみ本国法というのであれば、女性が韓国人であれば再婚禁止期間(日本法のみ)中であっても韓国では再婚が可能。 2.婚姻の方式は、婚姻挙行地方裁判所又は当事者の一方の本国法による。 ただし、大韓民国で婚姻を挙行する場合に、当事者の一方が大韓民国国民であるときは、大韓民国法による。 ※婚姻適齢のみは各当事者の本国法を満たせばよいとされていますが、婚姻適齢以外は当事者双方の国の要件を満たす必要があります。 例えば、日本人男性と中国人女性(18歳)が日本で結婚する場合、婚姻適齢は各当事者の本国法のみを満たさなければなりません。 日本人男性の婚姻適齢は日本法により18歳以上、中国人女性の婚姻適齢は20歳以上となります。 よって、中国法が適用されると結婚することが出来ません。 しかし、中国法では婚姻挙行地法を適用するとあるため、日本で結婚するのであれば、日本法(女性は16歳以上)が適用されますので、 結婚することが出来ます。 一方、 日本国内で結婚する場合、再婚禁止期間は当事者双方の本国法を満たす必要があります。 中国法には再婚禁止期間の規定はありませんが、日本の再婚禁止期間は6ヶ月です。 フィリピンやタイ、フランス、イタリアでは日本よりも長い再婚禁止期間が定められています。 したがって、日本国内で結婚する場合には、双方の国の法律を満たさなければなりませんので、より長い方の再婚禁止期間を経過 することが必要となります。 ※形式的成立要件(方式):「婚姻の方式は婚姻挙行地の法律」による(13条2項) 日本で結婚する場合は、市区町村役場への婚姻の届出 要するに、 ・日本で結婚するときの方式は日本の法律による。 ・日本で生活している外国人同士の婚姻でも、日本の婚姻届を出せば日本の法律上は有効である。 ・外国に住む日本人が外国方式の婚姻をした場合でも、その国の公的機関の発行した婚姻証明書があれば日本の法律上も有効である。 ・但し、日本にいる日本人が外国人又は日本人と日本で外国方式で婚姻手続きを行った場合は無効で、 日本では日本人は日本の役所へ婚姻届けを出した日が婚姻日となる。 |
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